活動レポート

あとりえ企画 江戸囃子と里神楽

2007年7月11日

今回のあとりえ企画は、「江戸里神楽 若山社中」の皆さんにお越しいただきました。
荒馬座の四十周年記念公演を機に、若山社中の鈴木恭介さんに踊りや囃子をご指導いただき、その縁で稽古場での公演と相成りました。社中の皆さんには、6年前にもあとりえ企画に出演していただいています。その際には、座と長いおつきあいのあった故・丸謙次郎さんとのご縁でお願いをしたのですが、「またやりましょう、次はこんなのもあんなのもありますよ。」と言っていただいたきりになっていたことが、今回恭介先生のご協力もあって実現することができました。

江戸囃子 『若山社中』は...
江戸時代から代々続く里神楽の若山家を頭首に師匠格の囃子方(笛・太鼓の奏者)、舞い方によって高い技術と洗練された芸を伝承している専門の集団です。国指定重要無形民俗文化財。

そう広くはない稽古場にたくさんの方においでいただき、第一部はかぶりつきで観る江戸囃子に江戸寿獅子。座員の感嘆のため息が聞こえ、また、獅子が決まると歓声とともに拍手が湧き...、江戸の芸と粋をたっぷり堪能できる空間となりました。


悪鬼退治
そして第二部は、待ってましたの江戸里神楽「悪鬼退治」。赤鬼、青鬼の道化的でコミカルな動きに笑い、さらに鬼退治に来た豪傑に矢を打たれた青鬼を助けようと奮闘する赤鬼に笑い過ぎと同情〜)で涙がこぼれるほど楽しませてもらいました。囃子も、最後に舞われる弓の舞も、お見事、といっては失礼ですが、こんなに目の前で観られることの幸せ、のあまり気がつくと口が開きっぱなしに...


悪鬼退治
後で社中の皆さんに聞いたお話ですが、観客が近くて緊張もしたが反応がとても良く、拍手も笑いが起きる箇所も多くて、やっていてもとても楽しかったとのこと。またやりましょう、と言って下さいました。


悪鬼退治
里神楽には台詞はなく、囃子が情景から心情からを表す、いわばパントマイムなのですが、その表現の豊かさと自由さ!祭り、ともなると、どうしても派手な御輿や山車に目が向きがちですが、神楽殿等で奉納される里神楽の魅力、面白さ。その芸の深さに改めてふれることのできた企画となりました。


(「荒馬座あとりえ企画」担当...金子春美)

いただいたご感想

  • 「『悪鬼退治』、初めて観ました。とてもダイナミックで、ストーリー性も高く、笛も場面に応じたものを使われて、変化に富んだものでした。日本にもこんなにユーモアのある演劇的な芸能があるんだと感激しました。」
  • 「『悪鬼退治』がとても楽しかったです。セリフなしでも心情までも表現する所作、お囃子との連携、何度も大笑いしました。」
  • 「囃子はそれぞれが会話しているようなかけ合いが感じられて楽しく心地よかったです。獅子は登場の瞬間から動きのキレのよさに魅了されました。表情さえイキイキと感じられますね。かっこよくてかわいい獅子でした。里神楽もとても楽しかったです。最後の舞まで見応え、聴き応えがたっぷりありました。」
  • 「『悪鬼退治』では、お面をつけているのに、笑った顔に見えたり、おどけた顔に見えたり、悲しい顔に見えたり、すごいなあと思いました。昔の人がこういう娯楽で楽しんでいたことを思うと、おもしろい、楽しいということは時代が経っても同じなんだなあと思いました。」