活動レポート

あとりえ企画 民話の世界

2007年10月14日

10月の「荒馬座あとりえ企画」に、作家の松谷みよ子さんをお招きして、「民話の世〜いのちの重みを未来に伝える語り手とし〜」という題で講演していただきました。

松谷みよ子さん

民話の採訪をした時の話から「龍の子太郎」の生まれるまで、また、「我が家の民話」と題したご自分の育児日誌からの創作の話など、穏やかな語り口で約一時間半、松谷みよ子さんにお話しいただきました。


松谷みよ子さん

松谷さんの講演の前に、荒馬座の座員と日中友好協会の矢崎光晴さんと蒙古踊りを踊りました。(松谷さんの編集された【現代民話考2『軍隊』】の中に、矢崎さんのお父さん、新二さんの加害の体験が記録されています)政府が語り継ぐ戦争でなく、民衆が語り継ぐ戦争の話、それこそ民話ではないかという光晴さんのお話も、講演と相まって共感を呼びました。


矢崎光晴さん

 民話とは、単なる昔話ではなく、誰かの体験、話を語り継いでいくこと、そしてそれは遠いどこかの誰かではなく、自分の家族や、友人であったり、はたまた自分自身の体験かも知れず...。膨大な数の民話はこうやって語り継がれてきたもの。そして今、私たちは何を未来に語り継いでいくのか。そう問い続けてきた松谷さんの仕事の大きさに改めて気付かされました。また、日本の踊りや唄、太鼓も同様に、自分たちも問い続けていかなくては、と思いました。


蒙古踊り
(「荒馬座あとりえ企画」担当...金子春美)

いただいたご感想

  • 「民話に込められた人の知恵・後世への思いを、松谷さんの話を聞きながら改めて感じた。語り継ぐことの大切さを私たちも担うべきだと思う。平和も戦争を語り継ぐことで実現できるものだと思う。自分も『現代の民話』を語り継げる者になりたいと思いました。」
  • 「やさしい語り口、若々しい声で、重みのある話が聞けてよかった。『現代の民話をつくろう』というのは何だろうと思ったが、公害の話も戦争のことも現代の話であると考えたら、しっかり語り継いでいかないとと思いました。」
  • 「松谷さんのやさしい語りの奥には、かかえきれないのほどの痛みや苦しみなどの詰まった段ボール箱があって...、そこからほんのひとにぎりのものをいただいているんだと...。でもそれだからこそ、強く印象に残るのだと、貴重なことを伺った気がします。いつまでも聞いていたいお話でした。」
  • 「とても心に残るお話でした。戦争のことなど、もっと私は知っていかなくてはいけないという気持ちになりました。無知ということはとてもこわいことだと思いました。これからも松谷さんの作品を通じていろいろなことを学びたいと思います。」
  • 「小さい頃に呼んだ『ももちゃん』シリーズの松谷さんにお会いできとてもうれしかったです。語り口も優しく、最後に『まちんと』を読んでいただき、本当に感激しました。また、民話の話から戦争の話まで、松谷さんが見てきた世界を幅広くのぞけたことも、21世紀の人間として伝えていきたいことばかりでした。」
  • 「あたたかい家族の話、民話、そして普通では語られない戦争の話...。深く平和について考えさせられました。」
  • 「松谷さんのお元気で優しい語り口が心に響きました。知らなくてはいけないのに、知らないでいることがたくさんあるなと思いました。これではいけない!と。」
  • 「民話だけでなく、戦争や人々の苦しみ、人の心に敏感な松谷さんの気持ちが、お話から伝わってきました。子どもたちにこれから松谷さんの作品を読み聞かせる上でしっかり伝えなければいけないことだと強く思いました。」
  • 「子どもの頃から慣れ親しんでいる松谷さんのお話を聞くことができ、とてもうれしかったです。人から人へ語り継ぐことが非常に大切だと思いました。命の尊さ、平和の大切さを伝えていきたいと改めて思いました。」
  • 「松谷さんのお話を直に聞いて、今まで読んだ童話や絵本がまたちがった景色で見えてくるようでよかったです。」