活動レポート

あとりえ企画 シリーズ 平和の集い 『東京が燃えた日』 作家 早乙女勝元さんが語る東京大空襲

2008年9月11日

 今回の荒馬座あとりえ企画は、平和のつどい「東京が燃えた日」-過去からの声未来へつないで-と題して、第1部に作家でありご自身も12歳で東京大空襲を体験され、現在は東京大空襲・戦災資料センターの館長でもある早乙女勝元さんに講演していただき、第2部では荒馬座からの平和のメッセージという構成でおこないました。

舞台画像

奇しくも7年前にニューヨークであった同時多発テロのあったこの日に、改めて平和について考えようとたくさんの人たちが足を運んで下さいました。第1部の早乙女さんの講演は、冒頭にビデオ「東京が燃えた日」を上映して始まりました。

ご自身の当時の体験の話や、現在なぜその過去を振り返って学ぶ必要があるのか、そしてそれをどう未来へつないでいくのかなど、時に熱く、分かりやすく約一時間話をしていただきました。

前日まで、そこに確かにあった日常が壊されてしまうということは、言葉では知っていても、改めて体験をされた実際の話を聞くと、自分たちの想像を超えたものがあり、来ていただいた方にも、衝撃もある話でした。
 特に、「ゼロではこの先何も始まらない。すべては一人から始まるその一を広げていくことが大事なんだ。」というお話に、たくさんの人に勇気が拡がりました。

第二部の初めには、荒馬座の座員と日中友好協会の矢崎光晴さんと蒙古踊りを踊りました。
矢崎光晴さんの父新二さんは戦争中に、中国で加害行為を繰り返し、戦後戦犯として戦犯管理所に収容されそこで蒙古踊りを習い、またそこでの職員の対応に心を打たれ人間の心を取り戻した体験のある方で、現在は息子である光晴さんが、父新二さんの体験とともに蒙古踊りも引き継いできました。


踊りの前には、その父親の体験の話から戦争による、被害者、加害者についての話がされ、今戦争を知らない世代がそのことを受け継いでいかなくてはならない。そんな光晴さん自身の強い思いのこもった蒙古踊りでした。

早乙女さんの講演の中でも、また矢崎さんの話の中からも、これからますます、実際に戦争体験のある世代の人が少なくなっている中で、今いる戦争を知らない世代がいかに次の世代に受け渡していくかが重要と話されました。
「みんなが忘れてしまうから次の戦争はやってくるんだ」と言われた早乙女さんの一言がまさに現実になりかねない昨今、忘れてしまわないためにも、私たちも、太鼓や踊り、唄を通して次へ受け渡していきたいと思いました。


プログラム

第一部
講演「東京が燃えた日」
早乙女勝元さん

第二部
〜荒馬座からの平和のメッセー〜
蒙古踊り  共演 矢崎光晴さん
九条木遣り太鼓  荒馬座

いただいたご感想

  • 「今回の公演を聞いて、自分の戦争や未来への危機感の欠如を感じた。そして、過去から未来へとの、追体験の重要性を再確認させられた。 今回の早乙女さんのお話を、自分の経験に生かし、他にも自分で積極的に考え行動する自分の人生の指標としていきたい。」
  • 「『九条木遣り太鼓』、圧倒されました。各地に広げていきたいですね。矢崎さんの『蒙古踊り』も何回でも見たいです。早乙女さんのお話よかったです。今この時に知らねば、いったいいつ知る機会を得るのだろう...と思う。東京大空襲の『戦災資料センター』が国の施設ではないことに驚き、怒りを覚える。一人一人が戦争の戦争の愚かさを理解し、あらゆる戦争への協力を拒む声を上げていかねばならないと感じた。」
  • 「『東京が燃えた日』のお話を聞いて、知らないことや知っておかなければならないこと、たくさんの発見があった。『蒙古踊り』では矢崎さんのお話を聞いて踊りを見て、自然に世界に入ってしまい、本当に感動しました。私自身も、太鼓を通じて、過去から未来へ何かをつなげていきたいです。」
  • 「『蒙古踊り』では、踊り始めた矢崎さんの表情に、矢崎さんの語られた話が強くそこに入っていることが伝わって、胸が熱くなりました。早乙女さんの講演・『蒙古踊り』・『九条木遣り太鼓』、表現はそれぞれ違うけれど、みなつながっていましたね。もっと大勢の人たちに伝えられたら...と強く思いました。」


  • 「忘れてはいけない大切なことを聞くことができてよかったです。改めて『九条』を大切にしていかなければならないことを深く感じさせられました。」
  • 「過去から未来へつなげていくこと、戦争体験者が少なくなっていている現在、大切な気持ちだと思います。人の大切なものは、やはりその人の『心』、。心を育むのに大切なのは教育。現代に生きる私もいろいろ考えさせられた催しでした。」
  • 「講演も、踊りや太鼓もすべてがよかったです。『九条木遣り太鼓』もずっと続けてほしいと思いました。早乙女さんの話には、『一人から始められる!』ということに勇気を感じました。平和は守らなければならないことも!」
  • 「早乙女さんの話は、東京大空襲を体験された方の話として、とても臨場感があり、説得力もありました。今の学校現場では、戦後の歴史などはほとんど教えないので、子どもたちは今の平和は当たり前と感じているようです。『平和ボケ』なんて言う人もいますが、それこそ何もしないで先人たちが作り上げた平和に胡座をかいているひとの言葉だと思います。」
  • 「早乙女さんの講演はもちろんですが、矢崎さんの話もとてもよい話で涙が出てしまいました。自分はまだ子どもの頃に親や学校の先生に戦争の話を聞いて育った世代ですが、これから戦争を体験していない私が、これをどうやって次の世代に伝えていくか...、でもこれは一人からでもやらないと!と改めて思いました。」