活動レポート

「雨に打たれて我振り返る」 荒馬座水無月三人公演

2008年6月27日

2008年6月27日(金)、パルテノン多摩小ホールを会場に、「荒馬座水無月三人公演『雨に打たれて我振り返る』」を上演しました。

いつもの荒馬座公演とは趣を変えた小会場で出演者3名での特別公演。
尺八奏者で作曲家の宮田耕八朗さんの音楽を軸に、出演者それぞれの持ち味の出る舞台をと企画しました。
ご協力・ご来場いただいた皆さん、ありがとうございました。

舞台写真

  • 構成・演出  岡田仁
  • 音楽 宮田耕八朗
    尺八奏者。1938年東京生まれ。
    流派に属さず独自の技法を開拓し、「キビタキの森」「みずほのうた」など、
    農業・環境、平和を主題とした作品を数多く発表してきた。
    荒馬座とは創立二十周年記念公演第一部「菜の花のうた」の音楽を
    担当していただいて以来のおつきあい。
  • 照明 舟田厚志(HadyStage企画)
  • 音響 宮沢正光・岩澤和生(ふおるく)
  • えびす舞指導 鈴木恭介
    国指定重要無形民俗文化財/江戸里神楽・若山社中

上演プログラム

舞台写真
  • 挿入曲「村の春」
    傘踊り 編曲/宮田耕八朗
  • 挿入曲「水俣の海」
    水俣ハイヤ節 作詞/三浦恒夫
    じょんがら 編曲/宮田耕八朗
  • 挿入曲「秩父の山河」
    棒踊り
  • 挿入曲「糸繰りうた」
    秩父屋台囃子
    水口囃子
    篠笛独奏
    えびす舞
    獅子舞
  • 挿入曲「村の春」


メッセージ

制作にあたって

舞台写真

今回は、普段の公演とは趣を変え、少人数編成でベテラン3人の出演でそれぞれの持ち味を出せるような舞台を上演することになりました。
荒馬座で長く演技者として活動してきた3人の、それぞれのこだわりや人生一人一人のこだわりや生き方が、太鼓や踊りや篠笛を通して見えてくるような舞台になれば、そしてそれが皆様の心に少しでも潤いと元気の種になればとの思いを込めて創った作品です。

(制作/貝塚理子)


演出にあたって

舞台写真

荒馬座は、たくさんの方たちに支えられ応援してもらい活動を続けてきました。舞台もまた、たくさんの方々の協力をいただいて創作し上演してきています。
その出会いに演技者として、人として、生き方として大きな影響をうけ、それが一人一人のなかに蓄積され、舞台に立つ土台になってきました。
座歴を重ねた出演者3人の生き様を感じ取っていただければ幸いです。

音楽については、宮田耕八朗氏の力をお借りし、重厚なものになりました。
その演奏にのって、振付・構成を演技者自らが考え、表現しました。

初挑戦となる里神楽、今回は「えびす舞」として上演しました。時間のない中稽古をしてきた3人の意欲作でもあります。
振付・お囃子を荒馬座に合わせて創作・指導していただいた鈴木恭介氏に感謝し、座の新しい色を楽しんでいただければと思います。

 「水俣ハイヤ節」については、荒馬座にも大きな影響を与えてくれた水俣の杉本栄子さんが、残念ながら'08年2月28日に他界されました。
きっと天国でも元気にハイヤ節を踊り、私たちを見守ってくれていることで。しょう。今回は追悼の意を込めて上演させていただきました。

私たちの思いを一つ一つ実現してくれた音響・照明のスタッフの皆さん、協力していただいた専門家の方々にお礼申し上げます。

(演出/岡田仁)


出演者より

舞台写真

「高校を卒業し荒馬座に飛び込んで30年、本当にたくさんの方々に支えられ励まされ、育てていただいたのだなぁと舞台の上で実感した一夜でした。
 個を押し出して創る舞台に少し戸惑いながらも、10代の頃出会った「津軽じょんから節」、伸びやかでしなやかなのに切れがある動きを表現したいと思い踊りました。
自分のことだけを考え、自分と向き合う時間はとても心地よく、幸せでありがたい時間でした。
 この企画を実現してくれた主催者の方と会場に足を運んで下さった皆さんに心からお礼を申し上げます。ありがとうございました!」

 (出演者/金沢真美)

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出演者紹介

金沢真美

1977年入座。『太鼓ようたえ』・『野原の真ん中で』・『みんなでわっしょいふるさとの四季』など出演作品多数。
『海はいのち』・『祭だわっしょいどーんとハレ』など作品の構成・演出を担当。
茨城県「日立秋まつり」の演出など対外的な経験も持つ。

金子満里

1987年入座。『風のまつり』・『母里のまつり森の詩』・『大地のまつり水のうた』など学校公演作品での公演班の要として活躍。
2008年より上演の『楽-明日への息吹』の作・演出を担当。現在創作担当部門の責任者を務める。

宮河伸行

1993年入座。『ひらけやみのれ花太鼓』・『母里のまつり森の詩』・『大地のまつり水のうた』などに出演。
熊本県出身で、水俣病問題に意欲を持ち、「二〇〇一水俣ハイヤ節」創作の原動力となる。


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いただいたご感想

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  • 「音楽・照明・音響・構成・演出、どれもすべてがとても素敵でした。雨を感じ、海が見え、雪が生きていました。傘の華もすてきでした!」
  • 「踊りが美しいと思いました。笛の音も心地よかったです。出演者の三人の方の、それぞれ歩んできた芸の道がつたわってくるようです。重みのある時間をありがとうございました。」
  • 「まぶしい、しっとりとした、ピリリとした楽しい舞台でした。皆さんのそれぞれの心情、ここまで至った道のりなどのお話も聞けてよかったです。」
  • 「今までにない大人向けのしっとりとしたよい公演でした。太鼓ばかりを楽しみに今まで観てきましたが、今日の公演のようなものもいいなあと感じました。」

舞台写真
  • 「長く舞台を続けてきた皆さんの思いのたけにふれることができて、すごく胸にぐっときました。大切な宝物をみせてもらったような感じ。とても胸にしみて感動しました。」
  • 「しっとりと大人の味があるステキな舞台でした。三人のそれぞれの持ち味が生かされていてとてもよかったです。荒馬座の新しい一面を発見しました。またやって下さいね!」
  • 「新しいものが出回る昨今、荒馬座のように伝統を大切にしていることはとて大切なことだと思いました。ひとつのことを続けるということは、とてもたいへんなことですが、わたしもまた明日から仕事をがんばろうと思いました。」

舞台写真
  • 「いつもの荒馬座の公演と異なり、趣がありしっとりとした雰囲気で観させていただきました。どの演目も素敵で元気をもらうというより、癒された感じです。」
  • 「梅雨の晴れ間の夕べに、しっとりとした公演を楽しませていただきました。」
  • 「座歴の長い三人の、ふだんの公演では聞くことのできない演技への思いを知り、改めて『人から人へ伝わる』ことの意味深さ・大きさを感じました。三人の心・技・体に、心も身体も釘付けでした。」