活動レポート

2010荒馬座水無月公演『こころ明日につないで』【東京都多摩市】

2010年6月17日

多摩の地域では、2008年6月27日の『雨に打たれて我振り返る』以来、2度目の「水無月公演」となりました。今回の会場は客席数が300席ほどのパルテノン多摩小ホール

今回の作品『こころ明日につないで』は、「受け継がれていくまつりの心」と「芸能の原点」をお越しの皆様とともに感じ合えればという思いで、前回同様にふだんの公演とは趣を変え、出演者5人のそれぞれの持ち味を小ホールの空間で間近に感じてもらえるようにと構成しました。

多摩の地域でいつも太鼓民舞教室やさまざまな公演を主催してくれる『たまたま45』の皆さんを始め、たくさんの方々にご協力をいただき、満席のお客さんを迎えて、この作品を観ていただくことができました。

以下、公演作品の概要と、寄せていただいたご感想を紹介します。

作品紹介

プロローグ 挿入曲「村の春」 

◆秩父屋台囃子
厳しい風土と生活を乗り越えて祭りを作り出す民衆のエネルギーは、時代をも動かす力となりました。

◆獅子舞
ご来場の皆さんの御健康とご多幸を願って。 

◆八丈島の太鼓囃子 「しょめ節」から
♪ 太鼓叩いてうきうきしやれな
身から病の抜けろほどな ♪

八丈島の女性の太鼓打ち、故稲田カエさんに思いをつないで、女性の打ち手が打ち囃しました。
※故稲田カエさんは八丈島で有名な太鼓打ちで、以前荒馬座に太鼓の手ほどきをしていただきました。

◆刈干切唄
秋の夕日を背に三尺鎌で馬の飼料にする草を刈る山の作業唄です。
♪ ここの山の刈干しゃすんだよ
明日は田んぼで稲刈ろかよ ♪

◆舞紅葉
箏と篠笛の演奏
秋の景色を箏と篠笛で表現した曲です。作曲者の柴田旺山さんは、日本有数の尺八奏者・作曲家ですが、その枠を越えて竹の音楽家としても国際的に活躍されています。ご縁があって荒馬座に箏と篠笛の曲を作っていただきました。

◆創作舞踊 難場叟
「日本で古来より生活してきた民族(アイヌ・琉球民族も含めて)すべてが自然に身につけていた、身体技術であるナンバを研究する第一人者、桐朋学園大学教授矢野龍彦先生が開発したお元気体操を元にして、新しい民族舞踊を創作してみた。ナンバは難かしい場、切り抜ける知恵、そんな知恵を持った叟(老人)を自作の面で演じてみたい。」と、演じ手の宮河伸行自らが創作した初披露の創作舞踊です。

◆西馬音内盆踊り
軽快なお囃子の中、笠を被りしっとりと踊る姿は渡りを続ける雁のよう。「端縫い」という絹の布を丹誠込めて縫い合わせた衣装で踊られ、そばから母へ、そしてその子へと受け継がれた着物で踊ることが女性たちの夢でもありました。踊り手の金沢真美が現地の保存会の方から手ほどきを受けて踊り続けてきた踊り。自ら縫った端縫いの衣装でソロの踊りを披露しました 

◆さんさ踊り
夏のお盆の頃、年に一度ふるさとに帰ってくる亡き死者たちの思いを胸に刻み、次の生命へと心を繋いでいこうと踊られる「さんさ踊り」。遠い祖先の本当の願いと向き合って。

エピローグ 挿入曲「村の春」
※作曲 宮田耕八朗
宮田耕八朗さんは、日本有数の尺八演奏家・作曲家。流派に属さず独自の技法を書開拓。『キビタキの森』『みずほのうた』など、農業・自然環境・平和を主題とした数多くの作品を発表。荒馬座とは「荒馬座創立20周年記念作品」第一部『菜の花のうた』の音楽を担当していただいて以来のお付き合い。

出演者

 金沢真美・金子満里・小林幸子・宮河伸行・中村志真

アンケート

    • いつもの荒馬座公演とは一味違った演出にじーっと見入りました。まさに命の洗濯ができました。
    • いつもの演目でも今回はまた別のアレンジで鳥肌が立ちました。同じ曲がいろいろな形で生きていました。
    • 獅子舞で、囃子手の人が獅子や客席を見守るまなざしに感動!笑顔がステキでした。
    • 『八丈島の太鼓囃子』、女性たちのワイワイキャッキャッした雰囲気がとてもとてもよかったです。にぎやかでそして力強い島の女性の姿が見えました。欲を言えば衣装は、女性らしく浴衣やたすき掛けに汗がキラリとか、艶っぽい印象が出るとよかったかと思いました。
    • 大人の落ち着いた雰囲気の公演でとてもステキでした。女性のしなやかな動きの中にも力強さがあり、荒馬座の女性の演技に魅せられてしまいました。
    • 『舞紅葉』は、かわいらしい女の子が遊んでいるのを遠くから見守っているような雰囲気でした。紅葉の間から戯れる女の子二人がちらちら見える絵のようにも見えました。
    • 箏と篠笛の演奏『舞紅葉』には、初秋から秋が深まり、冬が始まるような印象を持ちました。

  • 新しい創作の『難場叟』、すごく余韻が残りました。ビートが身体に響いてきましたコミカルな動きもあり、笑っちゃうような、自分も身体を動かしたくなるような、とにかくハマりました。トランス状態に入りそうなビート・ムード!ヒットです!お面も自作のこと、スゴイ!
  • 『難場叟』、は観ていて気持ちがどんどん高揚していきました。ちょっとボレロをイメージする曲調でした。篝火も見えました。お面って不思議ですね。何か見透かさせているような、運命を握られていそうな...動きも不思議な魅力があります。スゴイ!回転は首を着けないのですね。
  • 西馬音内...こころに染みました。印象的なのは手です。わたしも踊りたい!踊ってみたい!またお面同様、笠の不思議、踊り手が遠い別の空間で踊っているのが見えているような気がしました。
  • 民族芸能は、人の心を元気にしてくれる、そんな公演でした。笛の音が会場いっぱいに広がりとてもすてきな空間でした。最後の出演者全員の『さんさ踊り』もとてもステキでした。

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