活動レポート

2010後援会特別企画「あとりえ公演」

2010年3月21日

2010年3月21日(日曜日)に、荒馬座後援会特別企画として「あとりえ公演」をおこないました。

荒馬座の演技者の試演・実験的な上演としての、この「あとりえ公演」。2009年に引き続き2回目となりました。今回も、演技者一同、この日に向けて前年から稽古に励み、この「あとりえ」から本舞台に生かすことも意識して取り組んできました。

当日は、15時からの回と19時からの上演で、それぞれ50名を越えるお客さんを迎えました。演技者それぞれが、いつもの公演とはまた一味違った演目やこの日に向けて磨いてきた芸を披露しました。

プログラム

第1部

◆獅子舞と両面踊り
◆昔話 ずいてん
◆津軽三味線「あどはたり」
◆津軽じょんがら節
◆箏と笛の語り 「つるのおんがえし」 

第2部

◆創作萬歳
◆谷茶前
◆獅子舞
◆浦浜念仏剣舞

あとりえ公演-伝統!創造!挑戦! 荒馬座創造委員会 金子満里

まずは、若手の演技者が「獅子舞」に挑戦。あまりご披露する機会の少ない鞠にとびつく獅子のかわいい仕草が特徴の「玉ジャレ」という技にも挑戦し、お互い刺激し合いました。

引き続き稽古を重ねている「津軽三味線」はまたメンバーを増やしての上演。
また「津軽じょんがら節」の手踊りをベテラン演技者から習って披露するなど、荒馬座の中で踊りや技への思いを伝えられるよい機会にもなりました。

今回は、昔話の一人語りや、2月の川越での「荒馬座二人会」で上演したばかりの箏としの笛のアンサンブルにのせての語り「鶴の恩返し」(宮田耕八朗/作・編曲)など、語り物も扱いました。

また趣を異にしたのが「創作萬歳」。太夫と才蔵のユーモラスなかけ合いに、会場が笑いの渦に包まれました。

昨年から何度かの集中稽古で琉球舞踊家の佐久本稔さんに手ほどきをいただいた沖縄の雑踊り「谷茶前」を男女二人のペアで初披露となりました。

2007年の荒馬座創立四十周年記念公演で上演して以来、毎年夏には地元の「初茶供養」に参加させていただき踊り続けている「浦浜念仏剣舞」も二月の上尾での『荒馬座三人公演』を機にソロでの踊りに構成して披露しました。
亡き魂の供養の舞のこの踊りは、ちょうどこの日がお彼岸の中日だったこともあって、家族のことを思い出して目頭が熱くなったというご感想もいただきました。

毎年、荒馬座後援会の皆さんに向けて、演技者の今やりたい演目を観ていただき、じかに感想や言葉をかけていただくことが何よりの励ましとなります。次回もさらに新たな挑戦をご覧いただけるようにがんばります。
「太鼓の演目が観たかった!」という声にお応えして、太鼓を中心とした「あとりえ企画」も構想中! 次なる機会に乞うご期待!

出演者の声

◆獅子舞
踊りはじめたばかりの獅子舞です。まだまだ技術不足ではありますが、みなさんの前で踊れることがうれしいです!獅子頭の生き生きとした表情と足さばきのメリハリを目標に、皆様の御健康と御多幸を願って精一杯踊ります。
... 上川誠二

◆両面踊り
以前から挑戦してみたかった面をつけての踊り。自分ではなく、おかめとひょっとこになりきって頑張ります。 身体の硬さに苦労しながらも、姿勢と気持ちの切り替えを楽しんでいます。荒馬座の伝統演目 両面をしっかり受け継げるように、精一杯頑張ります。
...西田真弓

◆昔話「ずいてん」
「むかし話をひとつ」 子どもたちに楽しいお話を届けたいと思い挑戦します。お寺の小僧のずいてんときつねのやりとりがおもしろいお話です。 一人語りは初めての挑戦です。みなさんが子どもの頃に戻った気分になれるよう、温かい世界を届けたいと思います。
...三浦直美

◆津軽三味線 「あどはたり」
出演者...川内愛弓・中村志真・金子満里・宮河伸行・関 いずみ

先輩たちが弾いている憧れの本舞台用の三味線に挑戦します。前回は4人でしたが今回は5人で演奏します。 揃い弾きの楽しさと迫力を味わいながら弾きたいと思います。
...川内愛弓


今まで、一人で弾く、唄いながら弾く事が多かった私ですが、今回は5人での揃い弾きに初挑戦します。 一人では味わえなかった音の重なりが心地良いです。
...中村志真

◆津軽じょんがら節
踊り...関 いずみ・川内愛弓/唄...中村志真/三味線...宮河伸行

『いつでも どんな所でも踊れる 女性の踊りを身に付けたい!いや、民族歌舞団の座員として踊れなくてどうする!?』...と焦りとともに思ったのはもう5年前。歌舞団競演会の夜、大交流会になり、各団の出し物合戦になった時でした。「唄ひとりと踊り」「三味線ひとつと踊り」など等、いとも身軽に披露される芸能には、祭りの原点のようなまぶしさがあり、以来いつかきっと、と思ってきました。 じょんがら節は、荒馬座では創立20周年記念公演で取り上げて、後は金沢真美が折りにふれて踊っていますが、公演で取り上げることはほとんどありません。 今回、型を受け継ぐ意味も感じながら、東北の女性の文化―「しなやかさ」と 「じょっぱりの心意気」―を新鮮に受けとめて挑戦します。
...関いずみ

◆箏・しの笛と語り「つるのおんがえし」
作...松谷みよこ/作曲...宮田 耕八朗/出演者...金沢真美・小林幸子

以前、あとりえコンサートで、尺八奏者の宮田耕八朗さんの「つるのおんがえし」(尺八・箏・十七絃と語りの編成)を上演していただいた事があります。
こんな風に、日本の昔話の世界を、おことの音色と共に届けられたら...とかねてから思っていました。この度、荒馬座の小公演用に箏と篠笛・語りの2名で上演できるよう、アレンジしていただきました。
新作です。今後、少人数のつどいの場や、子どもたちに楽しんでもらいたいと思っています。
...小林幸子

◆創作萬歳
出演者...長島敏治・西田真弓

昔は日本各地に「秋田萬歳」「会津萬歳」「三河萬歳」「伊予萬歳」など、太夫と才蔵2人組でお正月に家々をまわる門付芸があったそうです。(今も残っています)
それは言葉の掛け合いや唄の中で「鶴は千年 亀は万年」「七福神が参る」などの言葉が入り、この家は栄える、繁盛する、福が舞い込む、まことにめでたいとます。笑うことで福を招き、家内安全、無病息災、商売繁盛を願う民族芸能です。そして今テレビなどで流行の万才の元になってるものだと言われています。
今回は福井の「越前萬歳」、東京万才の元になると言われる「名鳥名木」、愛知の「知多萬歳」のエッセンスを元に創作をしてみました。 ホッと楽しめる時間を作りたいと思います。
...長島敏治

◆谷茶前
出演者...金子満里・宮河伸行

♪ 谷茶前の浜に スルルが 寄ててん だうヤエ
スルル小や あらん大和ミジュンど やんでぃんどーヘイ

アヒー達(たー)や うい取(と)いが アン小や かみてうり売いがヘイ
うり売て戻いぬアン小が 匂いぬしゅらさヘイ ♪

♪タンチャ マシマシ ティヤングァソイソイ  ティヤングァソイソイ♪♪

※谷茶前の浜にスルルという小魚が押し寄せて来たよ。
あれはスルル小ではなく大和みずんだってよ。
兄さんたちはそれを捕りに、姉さんたちはそれを頭に乗せて売りに。
それを売った後の姉さんたちの魚の匂いの良いこと。

「谷茶前」の踊りは浜に押し寄せてきた小魚を海人が捕獲したのを女たちが売りに歩くという漁村の風景を明るく健康的に描いたものです。
男が櫂を手に、女が魚を入れる籠を持ち、2人で組んで踊るところが一番の魅力です。
...金子満里

◆獅子舞
獅子舞は何回か子どもたちの前で上演してきました。獅子頭の中から聞こえてくる子どもたちの反応が最高に楽しいです。 今回は、まりにとびつく獅子のかわいいしぐさが特徴の「玉じゃれ」という技を覚えて、初めて披露します。いつか子どもたちの前で上演し喜んでもらえるよう、今日はその第一歩です。
...川内愛弓

◆浦浜念仏剣舞
踊り...宮河伸行/笛...金子満里/胴取り...金沢真美

岩手県三陸町越喜来に伝わる郷土芸能です。 念仏唄(和讃)の印象が強いが、保存会の中にはクリスチャンの方もいる。 その方は「8月7日という日に初盆を迎える家にみんなで集まって少しでも遺族の方々の悲しみを分かちあって慰めあっていく...この踊りには、地域の昔からの共同体の知恵が秘められているんです。」と語ってくれた。 芸能の神様、弁天様が好まれるという白檀のお香を焚きますので、 「芸能の香り」をおみやげにお持ち帰りください。
...宮河伸行