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あとりえ企画レポート

環境を考えるシリーズ 3
『三宅島の自然と芸能』‐三宅島の自然の豊かさを世界に紹介した故ジャック・モイヤーさん(海洋生物学者)の遺志を継いで‐

〔講 演〕海野 義明さん(『オーシャンファミリー』代表)
〔協 力〕三宅島神着郷土芸能保存会の皆さん
〔日時〕2005年1月29日(月)
(募集は終了しています)

講師・海野義明さん

第一部の講師の海野義明さんは、昨年亡くなられた海洋生物学者ジャック・モイヤー博士とともに三宅島で海の環境教育をしてきました。
モイヤー先生が亡くなって一年。
まず追悼セレモニーとして、モイヤー先生の思い出を元三宅小学校の中村泰之先生に話していただきました。
音楽が大好きなモイヤー先生。「不思議だね。人間だけが他の生物と違って音楽が必要なんだ。」「今危機的な海を救うには人間の過ちを伝えるより、海の素晴らしさを伝えればいい。」こう言って、子どもたちに種をまき、今第二第三のモイヤー先生が育ちつつあるそうです。
会場の皆さんと一緒に黙祷を捧げ、改めて海野さんから、三宅島の噴火とこれからについて、そしてモイヤー先生と培った海の大切さについてお話しいただきました。
三宅島は火山島であるが故に海岸線は伊豆諸島の中で一番起伏に富み、黒潮が海の恵みを運び、居つかせ、豊かな命を育んでいること。さらに島の豊かな森が海をよい状態にしていることを、噴火前の映像と併せて話していただきました。
その美しい島は、噴火の際には火山灰が光を覆い、真っ暗闇に。五m先の隣家の灯りが見えなるほどだったそうです。海の中にももちろん火山灰の影響がありました。ふだん透明度が高く、魚の群れがくるとその向こう側が見えなくなるほど生き物がたくさんいるのに、気味の悪い生命の存在しない海に。それでも海野さんが島を離れる直前に発見したのは、火山灰をかぶり、まるでコンクリートで固めたようになった畑から芽を出した小さくとも緑鮮やかなあした葉。その土地に合った生命が息づく自然のたくましさをあした葉の写真から感じ、会場からは驚きの声があがりました。この写真は島の人々にとってもその後の生きる励みとなっています。

神着地区の初午の獅子舞
第二部は、保存会の前田誠さんと飯沼義仁さんから、島の芸能について実演とあわせてお話しいただきました。
やはり火山島故に、噴火に関する神社やほこらが数多くあり、祭りがある。富賀神社の例大祭ではみこしの受け渡しの際、各地区異なる太鼓と獅子などの芸能が行われる。神着の木遣り太鼓はよく知られているが、その他にも島にはたくさんの唄や踊りがあることをうかがいました。
二月も間近ということで、前田さんには神着地区青年団の初午の獅子舞を披露していただきました。飯沼さんからは、三宅島の名前の由来が「御焼島」で火山灰も「御灰」と呼び、すべて神のなせるわざと信じてきたことや子どものころ聞いた伊豆七島がそうやって生まれたかなどの神話についての話をうかがいました。飯沼さんは伊豆地区の出身で、地区に伝わる流人文化の「悲恋太鼓」を披露していただきました。プログラムにはなかったのですが、飛び入りで神着出身の戸田おさむさんが島節を唄って下さいました。
その時その場の気持ちを唄う島節。「二月帰るのお名残惜しや、いろいろお世話になりました。」「今日は嬉しや皆さんと 一緒に太鼓たたいてヨー にぎやかにナー」「三宅島かヨ緑の島かヨ 小鳥さえずる唄の島」。
最後は座員の宮河が「人と一緒に避難してきた祭りを島に送り返す気持ちで叩きます!」と言葉を贈り、保存会の皆さんと座員とで木遣り太鼓を叩きました。

伊豆地区の『悲恋太鼓』

飛び入りで島節を唄う
命の輝きを強く望んだモイヤー先生について、海野さんはこう語りました。
「彼は多くの人々に自然の大切さを伝えてきた。それができたのは彼自身の本質もあるけれど、五十年間過ごした三宅島の自然とそこに暮らす人々に支えられたことが大きいのではないか。」と。
私たちはこの日、ダイナミズムあふれる三宅島の自然とともに暮らす中でたくさんの芸能が生まれ育まれてきたことを、島の人たちが島を語り、唄い踊り、叩く姿の中から、しみじみと感じさせられました。島の海は今、黒潮の速さで火山灰が洗い流された所一面にサンゴが広がっています。でも本当の三宅島が復活するのはまだまだで、森が復活した時です。
観光産業を考慮した砂防ダムについてなど課題ばかりですが、この日のゲストが皆「ぜひ三宅島に来て下さい!」と言っていたことが印象的でした。皆さん、これからもなおいっそう三宅島を応援してあげて下さい。

(「あとりえ企画」担当・小林幸子)


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