活動レポート

あとりえ企画 渋谷和生『津軽を奏う』津軽に根ざして ふるさとのうた

2006年6月 1日

〔渋谷和生さんプロフィール〕

  • 一九七〇年 青森市生まれ
  • 一九八六年 山田千里師の内弟子となる
  • 一九九〇年 津軽三味線全国大会A級チャンピオン
  • 一九九〜九四年 津軽三味線全国大会A級チャンピオン三連覇を果たす
  • 一九九八年 青森県芸能文化奨励賞受賞
  • 二〇〇三年 国内の有望な伝承者に贈られる「地方伝統芸能奨励賞」受賞
  • 二〇〇四年 津軽三味線ライブハウス渋谷和生の店として「ふる里の響き あいや」を開店
唄の岩木義夫さん

今回のあとりえ企画は、青森は弘前より、津軽三味線奏者の渋谷和生さんをお招きしました。
唄い手の岩木義夫さん、囃子の斉藤りかさんの三名で来座していただき、「津軽を奏う(うたう)」と題してのコンサート、平日の夜でありながら満員御礼で、稽古場一杯のお客さんと座員の前で、三味線と、唄とお話と、たっぷり二時間、津軽からの響きを満喫しました。
「津軽三下がり」から始まって、「津軽じょんから節」・「津軽あいや節」・「津軽よされ節」、また「津軽山唄」などなど、津軽の有名な民謡を中心に途中休憩をはさんで一部、二部に分けて構成。また二部のはじめは座員との共演をお願いし、じょんから節の手踊りの伴奏と座員五名との「あどはたり」六人揃い弾きが実現しました。演奏の合間の、渋谷さんの津軽弁でのお話も語りかけるように温かく、会場はすっかり和みました。例えば同じあいや節でも、唄の伴奏で弾くものと三味線だけの曲の違いや、ばちさばきの違いなどもわかりやすく説明して下さり、三味線は初めて、という人にも、とても良い出会いとなったようです。

渋谷さんは、子どもの頃は、津軽の唄を習っていたそうで、そのうちに、その伴奏の三味線に惹かれるようになったそうです。最近流行の津軽三味線は、速さやその技巧だけが目立って追求されている気がするが、元々は唄の伴奏から生まれたもの、一音一音しっかりと心を込めて弾くもの、と語る渋谷さん。その指さばき、ばちさばきの見事さはもちろんの事ながら、音色は人柄がにじみ出て明るく温かく、津軽三味線に対して持っていた印象が変わりました。華やかにメジャーデビューする三味線奏者の多い中、ふるさと津軽をこよなく愛し、その津軽で育まれた三味線を愛し、そこに根ざして弾き続ける渋谷さんとのよい出会いのできた企画となりました。

(金子春美)

囃子の斎藤りかさん

座員の手踊り

座員と『あどはたり』の共演

いただいたご感想

  • 「津軽三味線は力強く激しいものだと思っていましたが、こんなにやさしくて力強いのに感動しました。ゆっくり津軽を旅してみたくなりました。」
  • 「こんなに近くで迫力のある津軽三味線を聞くことができてとても感激!生の音色は目をつぶると迫ってくるようで、それでいて高い音などは澄みきっていて、物語やおとぎ話のような不思議な雰囲気を感じました。」
  • 「津軽三味線というと、叩く激しいイメージがありましたが、それだけではなく優しい繊細な音色も奏でられるのだなと思いました。目を閉じると何となく津軽の情景や働く人々の姿がイメージでき、改めて津軽の文化や風土などにふれてみたいと思いました。」
  • 「やわらかい音色で、津軽三味線のイメージが変わりました。とても味があり心地よかったです。」
  • 「『津軽山唄』が特によかったです。山の情景が目に浮かぶような力強さ・あたたかさ・山そのものが感じられるような唄と演奏でした。」
  • 「本場の津軽三味線をこんなに近くで聴けてよかったです。合間のお話も渋谷さんの人柄がにじみ出てあたたかい雰囲気でよかったです。」