活動レポート

「南米における日本の芸能・和太鼓の講義と指導者養成講座」を担当して

2009年9月 2日〜2009年9月30日

2009年度国際交流基金「日本文化紹介事業」の一環として、「南米における日本の芸能・和太鼓の講義と指導者養成講座」を荒馬座で担当しました。

実施したのは、ブラジルとパラグアイの2国。ブラジルではベレン市・トメアス市・フロリアナポリス市・ジョインビーレ市・サンジョアキン市・ラーモス市、パラグアイではイグアス市の6都市。約3週間の期間に延べ31回の太鼓指導などをおこないました。

南米の和太鼓に対する関心の高さにびっくり! 民族歌舞団荒馬座 代表  狩野 猛

今回ブラジル・パラグアイの2国6都市で延べ31回の太鼓指導・講義・出演演出・リハーサルを行った。移動距離が長く身体的にハードだったが、南米での日本文化、特に太鼓に対する関心の高さに改めて驚いた。

指導以外に、クリチバーノスの桜祭りにパラグアイ・イグアスの太鼓チームの公演やベレンでのイグアス太鼓チームとベレンの日系人とブラジル人の太鼓チームとの合同公演の指導・演出をおこなったが、日系人だけでなくブラジル人からも太鼓の演奏に大きな拍手と歓声がわき、どちらの公演も大成功だった。

2008年3月の「ブラジル移民百周年」で荒馬座が公演して回った地域でいくつかの和太鼓グループの演奏を見せて貰ったが、早いリズムとオーバーアクションの連続で「日本の和太鼓」演奏とはほど遠く、これが「日本の文化だ。」との誤解を解きたいと思い、今回は指導中にバチの持ち方や叩き方も含め、姿勢・リズムの指導ともに、日本の太鼓はどのような時に使われているのか、日本人が太鼓を叩くときの気持ち・思いを話した。
その結果、地域によっては「和太鼓」そのものについて何も知らずに叩いていたことが判明した。ドラムの代わりに大きな音の出る和太鼓を叩いて早いリズムと統一された振りが「和太鼓の特徴」と思っていたらしい。

この体験は、日本での公演・指導と違って、歴史・文化・風土の違う地域で「日本の文化」を理解して貰うことの大変さと、しっかり話せばしっかり受け止めてくれることを実感し、ともすればリズムや形が先行する間違ったものが普及してしまう危険性を強く感じた。

日本文化・特に太鼓を普及していく上での最大の課題は、南米で日本の文化や太鼓についての本質を伝え、指導できる人間をいかに多く育てるかにかかっていると思う。

異文化の地域で日本の文化を紹介・伝承するには長い時間と継続的な努力が必要だ。今後も今回のような国際交流基金の支援が必要不可欠と強く感じた1ヶ月間であった。

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